畑から5千年前のお宝が!
2021 年 5 月 11 日から井戸尻考古館では曽利(そり)遺跡の範囲を確認するための調査発掘を行いました。
考古館から「手伝ってもらえませんか?」と声をかけていただき、井戸尻応援団の有志が発掘期間に参加させていただくことになりました。
すでに史跡公園の蓮田のレンコン掘りのお手伝いをさせていただいていたので、実績を買って頂けたようです。
発掘作業をやったこともない人間に手伝わせてもらえるなんて、めったにない凄いチャンスです。
曽利遺跡は井戸尻考古館の建っている北側に隣接しています。
今回の発掘は、曽利遺跡の範囲と内容の確認を目的とした調査だそうです。
いざ発掘!の前に。。。
発掘作業が始まる前の 2021年5月5 日のこどもの日、井戸尻考古館では曽利遺跡の土の表面に出ている土器を探すイベントを行いました。
曽利遺跡は、何十年も畑として使われています。
毎年、ロータリーをかけて耕作しブロッコリーなどの作物植えて収穫しています。
耕作して土が攪拌(かくはん)されることや、冬に凍った土が春に解けて凍みあがる現象が繰り返されることによって、土の下の土器などが地表に持ち上げられ現れてきます。
この地域では土器が埋まっているのが浅い所だと地表から 30 ㎝くらいなので、こんなことが起こるんですね。
よく耳にする話ですが、昔は畑を掘ると土器などが出てきてむしろ気味悪がったそうです。
邪魔な土器は畑の脇に積み上げられて捨てられたそうです。
表面採集の現場レポート
今回の発掘でも表面採集でたくさんの土器が見つかりました。
4m巾の四角形にロープが張られ、区画ごとに採集していきます。
地表に現れている土器だけを拾ったのですが、あっちこっちから「あったー」という歓声が上がりました。






見つけた土器を学芸員に鑑定してもらいます。
「あ、これはただの石ね」とぽいぽい捨てられることも。。。
「いいのを見つけたねー」と言われたらもう満面の笑みです。
採集した土器を区画ごとに整理して作業は終わりです。


おらあとうの宝は おらあとうの手で 明らかに
土の表面から土器を拾う。こんな体験ができるものこの地域ならではの事ですね。
5千年前の土器の本物が転がっているんですよ。
もう時効になっているかしら? 我が家の子供たちも春になると畑の表面に光る黒曜石を拾いに行っていました。
この地域の先人たちが
「おらあとうの宝は おらあとうの手で 明らかに」
としてきた歴史が受け継がれているからこその井戸尻考古館だと感じました。
発掘ってなんだ?!
さて、今回の発掘調査に話を戻したいところですが、発掘には大きく「学術調査」と「緊急発掘調査(記録保存調査)」と「保存目的の調査」との3種類があることはご存じですか?
「学術調査」
大学が遺跡を調べるための発掘調査です。遺跡の全容解明や特定の学術的な疑問を解明するためにじっくり時間をかけて実施されます。
「緊急発掘調査」
道路をつくる、家や工場を建てるなど、土が掘り起こされて遺跡が壊されてしまう前に発掘調査をして”記録”として遺跡を保存する調査です。
この場合、掘り起こされる場所や建物が建つような場所はすべて掘って調査します。出土した遺物も全部取り上げて保存します。
町の史跡指定されたところに家を建てると大変だというのはこういう事ですね。
個人宅などでは発掘にかかる費用は公費で補助していますが、凄いものが出たら調査には時間もかかります。
工場などを建てて事業をするための開発・営利目的の場合は事業者が費用を持つのだそうです。(正確に言うと、「発掘調査を必要とする原因を作った人」に費用負担を”お願い”します。という事だそうです)
現在、日本で行われている発掘の9割以上がこの発掘だそうです。
「保存目的の発掘」
遺跡が存在するか、範囲はどのくらいかを確認し、なるべく遺跡を壊さずに保存(現状凍結)する措置を講じるための発掘調査です。今回の曽利遺跡で行われたのはまさにこの「保存目的の発掘」です。
曽利遺跡の発掘の目的は??
- 曽利遺跡の範囲がどこまで広がっているのか?
曽利遺跡の北側には大花遺跡が隣接しているのですが、遺跡の境も明確になりました。 - 環状集落になっているのか?
- 竪穴住居の年代の特定
「発掘=破壊」というパラドックス
調査発掘では、全体を掘るのではなく、トレンチと言って巾2メートルほどの溝を何本か掘って、出てきた遺物や建物の跡を調査します。
この2メートル幅にも「遺跡の内容を調べることができて、破壊を最小限にとどめられる」という学芸員のこだわりがあるんだそうです。(いちいち、“愛“を感じてします。)
全部掘ったらもっとわかるのに、って素人は考えますよね。
でも、遺跡を保存するのが町の文化財保護係の仕事で、遺跡を掘る行為そのものが遺跡を破壊する行為になるのだそうです。
従って、土の中にそのまま保存しておくことが一番いいのだそうです。
そして、将来的に発掘が可能な箇所については埋め戻すというのが基本だそうです。
個人的には、まったく納得できません。
発掘することで「こんなすごい土器が出た」とか「こういう集落が存在した」ことが分かった結果、井戸尻の凄さが分かったという側面はありますよね。
富士見町にはまだ発掘調査されていない史跡がたくさんあるので、まだまだお宝が眠っている可能性があるって事です。
次回は発掘初日のレポートをお送りします!
